村雲式 > 読書レビュー > 風は山河より

風は山河より

風は山河より〈1〉 (新潮文庫)

ようやくお借りした(すでに頂いた?)本を読み終わりました・・・・・「風は山河より」。これは三代続く、菅沼一族の歴史とその人物、菅沼定則・定村・定盈の三代男の生きざまを描いた全六巻。読みだしたら止まりません・・・・・・でもですね、なんで日本の男児って一文字親の名前を継ぐんですかね、、、、、非常に分かりにくい(爆)さらに通り名(菅沼家の場合は”新八郎”)は皆同じ名前だし。(襲名は今でも歌舞伎なんかで名残がありますよね~)ようするに、祖父と父と孫が三人一緒に居る時に、「おい、新八郎っ!」って呼んだら三人が同時に振り向く訳ですよ。誰が誰だか睡魔と先に進みたい気持ちと格闘させながら読んでると、、、、、最後は何が何だか分からなくなって、布団の上で寝落ち(?)してしまいます。次の日はまたかなり遡った場所から読んでる自分、、、、、まぁそれはどうでもいっか。

宮城谷昌光さんのすごい所・・・・というか、その生きざまやその武将の信念を捉えるには、その家が置かれた状況、本家・分家との繋がりから家臣との繋がり・日本の歴史的背景から地理的な特徴までほとんどを網羅してます。親族の話なんて、同じ菅沼姓の上にまた皆同じ一文字 「定」 が皆ついてて、「あれ?なんでこの人、ここに居る訳??」 と記憶力の悪い管理人はいつも思っちゃう訳ですよ、そしてページを遥か昔に戻すんです・・・・・・まぁそれはどうでもいいとして。

で、一体この 「菅沼定則・定村・定盈って誰?」 って話になると、徳川家康のお祖父ちゃん、「松平清康」からはじまる「松平(世良田)清康・松平広忠・徳川家康」 の時代と共に走り、この実力を認められた武将の一族。そして物語がやっぱり同時進行でなくてなならないこの 「松平一族」 と共に重なって進むもんだから、、、、一つ一つを押さえながら進まないと話がさっぱり分からなくなると思います。でも、世良田→松平→得川、、、にしたかったけど誰かと被っちゃうから徳川・・・・・この辺りの説明や歴史的背景、さらには登場人物の系図もほとんど載っているので、もう、なんて言うか、ここが一番の読みどころ。宮城谷さんの見識や知識を楽しむ場面なんですよね~

一番、管理人が好きな登場人物は、「野田四郎」。なんて素朴で覚えやすい名前なんだ(笑)

更に記事にする為に調べると、この方は架空の人物だという事実が発覚・・・・なんだそりゃ。しかし、この人は魅力的です。何者かに追われて初代、菅沼新八郎定則(代を譲った後は不春)に育てられるんですけどね~「この子は三河の山河が授けて下さった子だ。」 という事で大事に育てられ、またこの子の荒れた世の見方がすばらしいです。常に自然と対比させることによって生々しい戦国の世を見透かす能力が発揮されます。まさに自然から生まれた子。この、野田四郎のお蔭で乱世と三河の自然が繋がりやすくストーリーに深みを帯びます。それと合わせて、ようやく松平家二代目の広忠ぐらいから割とメジャーな、織田信長・武田信玄・上杉謙信・今川やそれに服従する家臣たちの名前がちらほら出てきますので読みやすいです。

ただし、「ちらほら」と。この「ちらほら加減」 が妙にリアルなんですよ。

主人公はもちろん菅沼三代。それがちらほらと聞く、他の武将の闘いぶりや戦の成果、風聞などを分析したり想像したり・・・・・それを判断材料にして生き残り、一家の家運を賭ける訳ですね。 「なるほど、昔の諜報能力とはこんな感じだったんだろうなぁ~」 それと同時に、読み手は読み手で今までの有名な登場人物の違う一面が見れたり想像できたり・・・・・今で例えると、パソコンや職安、求人誌の情報一切なしで一族の運命を賭けて会社に面接に行くみたいなものですからね・・・・・・・・このリアリティ。いや、宮城谷さんは最高ですよ、本当に。

記憶力・想像力の逞しい方は一気に読める本なのでお時間がある方はぜひお薦めの一冊(てか六冊)ですmm

ブログランキングに参加しております。

人気ブログランキングへ にほんブログ村 その他日記ブログ つれづれへ

コメント:3

おっちー 10-03-03 (水) 22:15

想像力は割りと豊かなんですが、記憶力と集中力に乏しい方もイケる本ですか…(切実)。

うるとらまりん 10-03-04 (木) 2:39

次は香乱記をどうぞ。
宮城谷さんの書かれた中国の田横の話です。一族皆に田がつき下の名も一文字なので??になりますが。
唯一馴染めた名前は平原君(ひらはらくんだと思ってた)でしたが、残念ながら人名ではありませんでした。

管理人 10-03-06 (土) 16:35

おっちーさん
興味があればどこまでも行ける本ですよ!!試しに読んでみて(笑)

うるとらまりんさん
「香乱記」、、、読みましたよ~!田氏の三人、大好きです!!
あそこは劉邦と項羽が入ってくるので押さえないといけない所ですよね~あの時代は韓信がやっぱり好きだなぁ~・・・・・韓信だけ書いてくれないかな、宮城谷さん。

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

この記事のトラックバックURL
http://www.murakumo-shiki.com/2010/03/03/post_599.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
風は山河より from 村雲式

村雲式 > 読書レビュー > 風は山河より

カテゴリ
村雲の本棚
検索
Feeds
Meta
リンク

このページの上へ